≪阿修羅のごとく≫★★★ 04.09.21

79年の冬、70歳を越える父の愛人に子供がいることを知った竹沢家の四姉妹は大騒ぎ。この事件を契機に、長女の不倫、二女の夫の浮気、三女の嫁ぎ遅れ、四女の同棲とそれぞれの抱える問題が顕わになっていく。四姉妹役は大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子。79年にNHKで放映されて人気を博した向田邦子原作・脚本の同名ドラマを、「模倣犯」(02)の森田芳光が監督、「失楽園」(97)の筒井ともみの脚本で映画化。

あの名作が映画で蘇る。あの当時、すごいTVドラマが誕生したものだと興奮していた記憶があるがディテイルは忘れてしまった。

中で覚えているのは、「今日は出張だ」と朝、家を出た男が愛人のとこに、一緒に行こうと電話するのだけど、急ぐあまり家に電話してしまったというエピソード。慌ててたので相手を確認せずにまくし立てて、あわてて切るが後の祭り。

基本テーマは「浮気」なんだけど、表面はあくまでもつつましい日常生活。それを一枚剥ぐとその下は阿修羅のマグマの世界。チラチラと燃える嫉妬と恨みの感情は燃え上がることはあっても静まるすることはない。
その感情がちょっとしたことで、おだやかな日常に噴出する。

そのあたりの陰影がかなりすぐれたドラマで、映画も基本的にはそうなんだけど、ちょっと物足りない。チマチマしてる感じがするのと、業のような陰湿な部分というのが伝わりきれないとこで、引いてしまうとこがある。

ウチにマグマを抱えながら、表面は平穏な芝居をするというあたりで独特の間があって、TVドラマのときはそれが緊張感として伝わってきたが、映画のほうは少し間延びしてしまってる感じがする。

向田邦子原作・脚本が完成されていたのだから筒井ともみがあたる必要がなかったのでは。そのまストレートに映画化するばよかったかもしれない。向田邦子以上のシナリオライターってまずいないのだから。