■≪ゴジラ・モスラ・キングギドラ−大怪獣総攻撃≫★★★☆
 子供づれ、もしくは学生同士が多い中、高校生かそれ以上の人が一人で見に来てたりする。根っからのゴジラファンなんだろう。
 そういうファンでないのでゴジラ事情には疎いけど、金子修介監督というのはガメラを復活させて傑作にしあげた監督だということは知っている。
 あの時ガメラは地球を守る怪獣として現れる。地球を壊そうとするものがあると姿をあらわす。それがもし人間だったら人間をやっつけに現れるだろうという環境破壊をテーマにした怪獣だった。
 こうした思想的バックボーンがしっかりしているのが金子さんのいいとこ。絵空事にリアルな背景を付与する。

 今回は、「ゴジラは太平洋戦争で命を散らした、数知れぬ人間たちの魂が宿った強烈な残留思念の集合体だ。ゴジラは武器では殺せん。“ヤマトの守護神”たちを覚醒させるのだ!」というのがゴジラのコンセプト。なかなかスゴイ。

 50年ぶりに姿をあらわすゴジラは太平洋戦争で現代の礎をつくった人たちに感謝の気持ちを忘れている現代人に警鐘をならす存在なのだ。

 それを迎え撃つ「ヤマトの守護神」というのが、
「日本には古来バラゴン、モスラ、キングギドラなどの怪獣がいて、狛犬やヤマタノオロチの伝説の基になった。そして古代王朝は彼らを退治したあと霊を慰めるため、くにを守る<護国聖獣>として祀り、1万年の眠りにつかせた」
ということでその3怪獣が「くに」(これも日本人や国ではなくて日本という環境のことなので「国」ではなくて「くに」)を守るためにゴジラに向かっていく。
 そうかキングギドラってヤタマノオロチだったのね。
 こうした金子さんの屁理屈がいいですね。

 ゴジラファンではない私は以前映画館でゴジラを見たのは1.2度だと思う。
 ゴジラが海から現れて、上陸する。カメラはずっとひいて町を映し出し、その彼方の海岸線にゴジラがいる。というお馴染の絵柄が映画館で見るといいですね。
 ファンでなくとも何度も見たシーンなので、ワクワクする。清清しい感じすらする。何度も見ているので、つくりものというより現実味を感じて見てしまう。この感じは映画館ならではかもしれない。
 意表をつく演出が随所になされていて退屈しない。

 ちょっとしたシーンで好きなとこがある。
 ゴジラが病院に近づいていく。ベッドに寝ている女性。足が悪いので逃げ遅れてしまった。恐怖におびえキャーとさけんでいると、ゴジラは側らを通り過ぎていく。
 ホッとすると、ゴジラの尻尾が病院を破壊してしまう。

 見せ場はわりと多くて満足したのだけど、今回は自衛隊がエラクかっこよく描かれている。太平洋戦争の精霊の塊という設定といい少し右翼的な匂いがする。金子さんってそういう体質の人なんだろうか。

 その自衛隊の組織の描き方などどうしてもマンガチックで怪獣ほどのリアリティを確保していない。総じて人物はさっぱり描ききれていないというアメリカのSFX映画と同様な感想になってしまった。