≪コラテラル≫★★★ 05.07.01

トム・クルーズがこれまで演じてきたヒーロー像から一転、白髪に無精ひげの殺し屋を演じ、新境地を開いたサスペンス。殺しを目撃してしまい、やむをえなくトム演じる殺し屋と行動をともにすることになったタクシー運転手を『アリ』のジェイミー・フォックスが演じる。監督は『インサイダー』のマイケル・マン監督。

トム・クルーズがクールな殺し屋をするというので、期待して見るとかなり裏切られる。

一晩で5人の殺害を依頼されて、それをタクシーを雇って廻ろうとするあたりからおバカさん。
最後タクシーの運転手を殺すんじゃなければ、次の日の新聞を見れば、客が犯人だということがわかってしまう。

映画はそのタクシードライバーと殺し屋の交流を描きたかったのだけど、その後トム・クルーズはミスばかりを繰り返す。

以下ネタバレになるが、
タクシーの上に死体が落ちてきて、タクシーはフロントガラスが割れているのにそのまま使用。警察に見つかってしまう。

殺す相手の資料の入ったカバンをジェイミー・フォックスに取られ、走っても追いつかないまま、捨てられてしまう。
殺す相手くらい覚えとけよと思うけど、再度資料を求めて雇い主のところに行くはめになる。

そして、最後はタクシードライバーと撃ち合いになり負ける。相手は安全装置のはずし方もわからないというのに。

なぜこんな話になったのか。
どこかしらおバカな殺し屋という設定にトム・クルーズがなじまなかった。トム・クルーズってマンガに出てくる熱血漢のようなキャラで、ストレート・アンド・パワフルは似合うけど、陰影のあるキャラはむつかしい。それでクールな殺し屋というストレートな演じ方にしたのだけど、脚本はそうできていなかった。

それに、トム・クルーズのネームバリューで主役が入れ替わってしまった。本来はタクシードライバーが主役の映画だったのだ。そのバランスが崩れてしまってる。

それとも何か解釈がいるのかもしれない。
殺し屋は実は罰してほしいと思っていたとか、
タクシードライバーに母親なり父親の投影があったとかなんとか。

けど、それらしい暗示がなければそういうように見ることは難しい。
結局、シナリオなり演出の不備かと思う。殺しのシーンなどは結構腕の立つ殺し屋と描いてるので、整合性がとれていない。

最初、タクシードライバーと女性検事の車中での会話や特撮に頼らない汗が似合うちょっと古い感じの演出はなかなかいい。
最新カメラを多用したという夜の風景などもいい雰囲気をしている。トム・クルーズが出てくると少し勘違いのドラマになるけど、それ以外はいい感じなのでした。