■「クレヨンしんちゃん モーレツ!嵐を呼ぶオトナ帝国の逆襲」★★★★
映画のクレヨンしんちゅんは案外面白いと聞いていて、新作がビデオになったので裕君と二人で見る。
冒頭が大阪万博でしんちゃんのおとうさんウルトラマンが怪獣をやっつけるシーン。
万博は1970年代だから、最初から???の設定だ。現代の子供に大阪万博とか「太陽の塔」とか「月の石」とか言ってもピンとこないだろう。何なんだこの映画は?
それは映画の撮影で、「20世紀博」というテーマパーク内のサービスのひとつだった。
このパーク内は20世紀の懐かしいものがいっぱいで、場内では「白い色は恋人の色」がかかっている。
「お邪魔します」「びっくりしたなもぅ」「ガチョーン」「およびじゃない」「俺が夕焼けだった頃」「ヒジョーにきびしい。」なんて言葉が飛び交っている。
しんのすけたちを追いまわすのはスバル360、悪の首領はケンとチャコ、ケンの愛車はトヨタ2000GT、さらに20世紀の香りを手に入れた主催者は入場者を20世紀のニオイで包み込み、洗脳してそこに住まわせてしまう。
夕焼けに赤く染まる板塀と木の電柱、威勢のいい八百屋さんが声を張り上げる商店街には買い物かごを下げたお母さんたちという昭和40年代の風景が再現されそこでみんな何の違和感もなく幸福に暮らしている。
こうして大人たちはみんなこのパークに吸収されて暮らし始める。
残されたのは子供だけ。大人がやっていたすべての機能は止まる。電気まで止まってしまう。
このあたりで子供と大人では見るポイントが変わってくる。
子供には親のいないさびしい状況の中での自立のテーマになるし、大人には単純に耳が痛い。
「昔はよかった」とか「ストレスの多い現代社会」とぶつぶつ言い、カラオケで古い歌をがなってはノスタルジーに酔いしれている私には耳が痛い。
映画は鋭く子供の隣でしょうがなく映画館に足を運んでいる大人に対してメッセージを送る。
途中バスでの追撃や高所アクションの見せ場がある。しんちゃんらしいギャグを入れて結構楽しめる。裕君は大笑いである。おっかけ、高所とこの種の映画のアクション性はある程度のスキルが出来ていてこなれてきてるなと思う。
20世紀には20世紀のニオイがあった。21世紀になって21のニオイが発見できてるのかといった問題提起があり、最後吉田拓郎の「今日までそして明日から」がかかって終わる。
これも子供には理解できないだろう。クレヨンしんちゃんあなどりがたしというか、これはオトナを対象としたアニメで子どもも楽しめるようになっているという新種のアニメなのではと思ったのでした。
意表をついたつくりに少しびっくりしてネットで評判を調べたら、やはり評価は高かった。
「今年4月に公開され、一部で大ブームとなったこの作品。子供向けでありながら、そのディープな内容とマニアックなディテールで“大きなおともだち”のハートをガッチリつかみ、その熱狂度は「千と千尋の神隠し」を凌ぐといっても過言ではない。」
「昭和40年代の懐かしい風景がオトナの心をかきむしる傑作。
ギャグにゲラゲラ笑い、それ以上に泣かされる。
今回はやられた! すごすぎる! 感動の嵐! 予告編ではこんなにすごい映画だと思わなかったけど、とにかく泣けます! 30代以上の人は必見!」
「「Web現代」のユーザ層は、男性が7割弱、年齢層は20歳台半ばから40歳台半ばまでで、ほぼ7割を占めている。その大多数がナットクし、笑えて、映画的に優れ、しかも「泣ける」という奇跡のような映画を探した。そして、『クレヨンしんちゃん』こそが、そんな映画だったのだ。」