≪ロスト・イン・トランスレーション≫★★★★ 05.07.06

CM撮影のため来日したハリウッドのベテラン俳優とカメラマンの夫に付き添って来日した若妻、2人のアメリカ人が異国で体験する淡い恋心を描く。『ヴァージン・スーサイズ』でデビューしたソフィア・コッポラ監督の2作目にして第76回アカデミー賞の作品賞にノミネートされた秀作。『チャーリーズ・エンジェル』にも出演していたビル・マーレイ。彼はこの役でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされる。相手役の若妻には『ゴーストワールド』のスカーレット・ヨハンソン。東京の雑踏がコッポラ監督によって、美しく映し出されているのも日本人にとって新たな発見。


日本に住んでいたフランシス・フォード・コッポラ監督の娘さんソフッア・コッポラが、東京を舞台につくった作品ということで製作当時から話題になったていた。アカデミー賞の脚本賞をとったそうだ。

東京に来ているのにそう観光もせず(京都には行くけど)うろうろしている映画俳優とカメラマンの妻の話。
観光する元気もないように見える二人。

中でこういう会話がある。
女「行き詰まってるの。年とともに楽になる?」
男「いや・・・そうだな。楽になるよ」
女「ほんと?あなたは違うみたい」
男「自分自身や望みがわかってくれば余計なことに振り回されなくなるよ」

二人とも行き詰まってるんですね。
孤独、閉塞感。それが東京という異文化の中だと際立ってくる。

東京の閉塞感とシンクロしてるのかもしれない。

ビル・マーレイという人は、外部にあまり反応しない。ボーッとしてることで批判性をもつという独特の芸風の人ですね。批判といっても、ユーモラスな感じというか自分が被害者然としてくるところがいい。といって分るかどうか。

東京というわけの分らない都市にただ何もしないビル・マーレイを置くことで、ドラマになる。彼のために作られたシナリオなんだそうだけど余人をもって替えがたしであります。

誰かのテキストに「かつてここまで「暇」「退屈」「手持ち無沙汰」感を描ききった映画があったでしょうか?」というのがあったけど、退屈な様子を描くとなると画面の進展も退屈になってしまう。
そこは会話とか、東京のカメラの切り方とかさきほどのビル・マーレイの演技などでそれほど退屈はしないのだけど、メリハリは欠けてしまいますね。

そうしたマイナスを上回る追い詰められた精神状態の二人というのがなかなかいい大人のドラマです。

しかし、一人は有名な役者で一人は売れっ子カメラマンの奥さんと生活の心配がない。
ベッドにいつまでも横になってうつろな目をしていられるって特権階級の憂鬱ということではないかとも思う。