■≪チョコレート≫★★★★ 03.03.21
「お父さんは、ボクのこと憎んでるだろうけど、ボクはお父さんのことが好きだった。」
と言って息子は父親の目の前で自殺する。
これは、父性の物語ですね。
「父性」というのは社会を代表し、厳格であり、罰し、切断する。反対に「母性」は、許し、平等に扱い、切断しない。日本社会は母性社会と言われ、西欧は父性社会と言われている。
主人公はその父性が強い。
だらしない子どもを罰し、許さない。黒人が家に近づくと銃で威嚇する。仕事は刑務所の死刑執行。まさに罰する父性を象徴する仕事だ。家庭的には母性を代表するお母さんがいない。かわりに同じく黒人差別のおじいさんがいる。結局、彼の父性の強さもお父さん譲りなことが伺える。
この父性に対するコンプレックスというのは「エデンの東」がそうでしね。これもお父さんに愛されないという悩みがメインだった。
アメリカ映画にはときおり出てくるテーマですね。
こんな母性欠如の環境の中で息子は絶望し自殺する。
その結果、主人公は息もできないような苦しさにさいなまれる。自分の間違いに気がついても教え込まれた父性の殻を破れない自分にいらだちを覚える。
それで、仕事はやめ、結局、黒人の女性とつきあいはじめ、最後には父親を施設におくることで、ファーザー・コンプレックスを脱却する。
若者成長の話はよくあるが、そこで問題を先延ばしにしていると中年になって、解決するしかなくなる。中年成長物語。
そのためには息子も親も捨てなくてはならない。やはり問題を先送りすると被害も甚大だなとしみじみ思ったのでした。
ハル・ベリーは、この映画で黒人で初めて主演女優賞をとって、その演説が話題となった。
R指定を受けたこの映画、激しいラブシーンがあるのだけど、やはりここでのシーンが白眉かなぁ。激しくも哀切溢れるシーン。
ただ主役は男性のビリー・ボブ・ソーントンの方だとは思います。先日は≪バーバー≫で散髪屋してたのですが。独特の存在感あって好きですね。