≪どら平太≫★★★★ネタバレあり  01.01

 市川昆監督久々の作品。30年前に黒澤明、木下恵介他4名が知恵を絞ったという話はちょっと今一。悪の巣窟の一掃が目的なんだけど、いきなり敵の縄張りに入っていく作戦で、あれこれ作戦をたてるのだけど、最後は50人一気斬りの剣の力で解決する。それなら最初から一気斬りすればいいのに。水戸黄門で、最初から印籠見せてまわれば事件はおきずにいいじゃんと同じ世界。
 役所広司は2枚目、3枚目を演じわけて、いいのだけど、全体としては一人で空回りしている印象を受ける。そういう意味では≪パーフェクト・ストーム≫に似ているかもしれない。強すぎてストーリーを作らせない。
 けどまぁそういうストーリーなんぞは市川昆の前では二の次。とにかく市川映像スタイルを楽しめばそれで十分だ。
 よく言われてるライティングの妙。たいがいのシーンで役者の顔は影で半分しかみえない。闇と光が計算されて奥行きのある映像を作り出す。それに編集の際1コマの違いも許さない独特のリズムのカットの積み重ね、日本の原風景みたいなものを撮りながらどこかモダンな雰囲気を出すカメラ、演出の遊びなど。会話を意図的にだぶらしたり、意味もなく大きい声を出させたり、着物の裾がふすまにはさまってるなんてのもいかにも市川監督らしい遊びだ。
 すでにお馴染みのスタイルで新鮮味がないという評も多いし、少し盛り上がりにかけ市川昆作品としては低調なとこはある。けど、台本を素直に映像にするのではなくて、映像にすることを楽しむという一歩引いた感じは独特でマンネリでも低調でももいいものだと思う。(01.1)