≪トゥ・ブラザーズ≫★★★★ 05.02.21

『セブン・イヤーズ・イン・チベット』のジャン=ジャック・アノーが監督・原作・脚本・製作と4役こなし、親を殺され、引き離されたトラの兄弟の数奇な運命の巡りあわせと、少年とトラとの友情を描いた作品。『メメント』のガイ・ピアースや『デリカテッセン』のジャン=クロード・ドレヒュスらが出演。トラの演技は、微妙な表情さえも感じるほどリアル。

《子猫物語》《小熊物語》といった動物が主役の映画。最近ちょっと珍しい。
虎が演技をしている。カメラアングルはキチンとしてるので、テキトーに撮ってつなげたというものではない。

よくこんな映像が撮れるなぁと感心させられる。
CGでたいがいのものは画像にできる時代に、まだどうやって撮ったのかわからない映像があるんですね。タランチュラにも演技させられるそうだから、これもそうかなと思うけど、かなりの苦労がしのばれる。

裏方の話を調べると
「使ったのは全部で30頭。そのうち18匹は赤ん坊のトラだった。一番の問題は、常に7週から12週の赤ん坊のトラを確保しておくことだった。それで世界中から生後まもないトラの情報をキャッチしておく必要があった。何匹かは哺乳瓶で育てた。

撮影したそれぞれの国の、動物管理上の問題や、通関手続きや、獣医学上の規定に加えて、早産や無分別な妊娠など、予期しなかったハプニングにも対処しなければならなかった。」

「広いオープンスペースを闊歩していたトラとは反対に、撮影技術者たちは8ヶ月間も狭いケージの中に身を寄せ合って働いていた。人間用の携帯檻はすばやくセットアップされるよう特別にデザインされたものである。

カメラは柵の外側にセットされ、電子制御されていた。トラを至近距離から撮影するショットが多く、時にあごまで数インチに迫る必要もあったためである。安全確保を最優先することで制限されるものも大きかった。ケージごとに、ボルトは外れていないかチェックしたり、技術者は全員無事にいるかをコーディネーターに報告するアシスタントが置かれ、すべての項目がチェックされて初めて、トラが放たれた。

トラがどんなに可愛く見え、情を感じても、彼らが獰猛な捕食者であることを絶対に忘れてはならない。獲物になりそうな存在が窮地に陥っているのを見てとるや、彼らは攻撃してくる。トラの目の前で転んだら最後、待っているのは死である。」

やはり想像以上の苦労があり、それが驚異の映像につながってるんだ。
それだけで十分いい映画でしたでいいんだけど、肝心のストーリーは平板でした。人間の乱開発で住処を追われる虎たち。悪いのは人間のほうという人間に批判的な論調は正論としても、「ジャングル大帝」時代から変わらないコンセプト。それをなぞるように話が進んでいくあたりは少し物足りない。

とはいえくどいけど、これだけの映像をモノにした努力に頭を下げたいですね。
他の人の感想を読むとネコ好きの人にはたまらない映像のようです。