≪容疑者≫★★★★☆ 03.06.16

ピュリッツァー賞を受賞した報道ジャーナリスト、マイク・マッカラリーの取材記事が原案のサスペンス・ドラマ。殺人事件の容疑者が過去に生き別れた息子だと知り、戸惑いながらも彼を追う刑事の苦悩を描く。主演は名優ロバート・デ・ニーロ。監督は「ボーイズ・ライフ」のマイケル・ケイトン=ジョーンズ。

 丈の短いジャンパーのポケットに手をつっこむ。
なんてシーンが今回何度が出てくる(左写真)。
そのポーズをされると≪タクシー・ドライバー≫(右写真)を思い出してしまう。

上の写真を見てもらうと分るように後にイエロー・キャプが通る。これが偶然なのかどうか。
私としては、≪タクシー・ドライバー≫のデ・ニーロのジャンバーポケット姿は有名なので意図的にタクシー車は使われていると思いたいのですがどうでしょう。

それは製作者のお遊びというより、実は、この映画が父子の愛情がテーマで、子どもがタクシー・ドライバーのデ・ニーロみたいなものなのだ。
都会の孤独なんてテーマも共通する。それで、≪タクシー・ドライバー≫のイメージとだぶらせるとこがあったと思うのですが。

原題は≪CITY BY THE SEA≫という。昔人気のあったリゾート地も今ではさびれているという状が冒頭に示されて、その対比もデ・ニーロの人生とオーバーラップさせられている。

父親は誘拐殺人犯で死刑になっている。
自分は家庭内暴力、浮気、離婚。
その息子は、麻薬、殺人で逃走中。
その息子にはさらに子どもがいて、デ・ニーロはおじいさんになる。

これだけ厳しい現実に、デ・ニーロは仕事を口実に逃げていた。
それが子どもにも影響して、麻薬、殺人につながっている。

破滅にむかっていかざるをえない人間像って一昔前の日本映画のようで、最近のようにSFXと派手なアクションがメインのものばかり見ていると内面にせまる作品づくりはえらく新鮮に見える。

父親の愛情不足が原因で、いつも逃げてばかりの人生。
それを小さい孫のためにピリオドを打とう。負の連鎖はやめようと最後デ・ニーロが説得するところがなかなかの迫力。

今アメリカでは離婚などあたりまえになって、負の連鎖を続けている人は多いではないかと思う。状況は厳しいがそれは勇気をもって絶とう、愛があれが可能だというメッセージがなかなかしみる映画です。